第305章

川崎正弘の最後のひと言に、丹羽光世と大西茂がそろって顔を上げた。

――これから先が不安、ってどういう意味だ。

丹羽光世が不安なのはまだわかる。籍を入れたばかりだし。

だが、川崎正弘が何を心配する?

二人にじっと見られ、川崎正弘は目を泳がせた。言い訳を探すように視線を左右へやった、その瞬間。

海人が丹羽光世の口調を真似て、のんびりと言う。

「義父、情が移ったんですか?」

「ふざけんな!」川崎正弘は勢いよく上体を起こした。だが力みすぎたせいで、ギプスの手がソファにぶつかり、ずきんっと痛みが走る。顔じゅうのパーツが一斉に歪んだ。「ボス、だいたいあんたのせいだろ! あんたが義姉さんと結...

ログインして続きを読む